ケーススタディ

金型の洗浄時間が50%削減されただけではなく、複数人を要していた作業員数が、1人で行えるようになりました

状況

金型のキャビティを清潔に保つことは、金属、ゴム、およびプラスチック製品メーカーにとって、高い品質基準を維持し、最大生産性を確保する上では、欠かせない重要なポイントです。不要な表面残留物、離型剤、ラベリング工程での付着物の蓄積は、低品質、欠陥品、オーバーパッキングや過度な負荷によるツールの損傷に至るまで、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

多くの射出成形会社は、未だ手作業で洗浄を行っており、ワイヤーブラシ・ワイヤーホイール・サンドペーパー・化学洗剤などで洗浄しています。これらの方法は時間がかかるだけではなく、高温の金属に近接して作業し、有害な溶剤を使用するため、作業者への危険リスクが高くなります。

その他の洗浄方法では、サンド・ビーズ・テフロンなどの研磨剤を使用した洗浄を行っていますが、これらの方法は飛散しやすく、洗浄工程や製品品質に大きな影響を与える可能性があります。例えばサンドブラストは、コンタミを防ぐために金型プレスから熱い金型を取り外し、装置を完全に閉じられたエリアに移動させる必要があります。洗浄された金型は再度コーティングし、プレスに再組み立て、再加熱する必要があるため、生産を再開する前の工程で多くの時間を要します。

サンドブラストは洗浄工程に時間がかかるだけでなく、使用していくうちに金型を鈍らせ、洗浄対象物を摩耗させる可能性がある研磨洗浄という点も懸念されます。金属、ゴム、およびプラスチックメーカーが製造を行う中で、最も重要で高価な設備が金型です。

金型や設備へのダメージリスクを最小限に抑えることは、最終製品の品質を確保し、金型・設備の寿命延長に不可欠です。

これらの従来の方法は、生産時間を短くし、保守コストの増加(労働力、材料、二次廃棄物処理を含む)によって収益に悪影響を与えます。

世界最大の自動車産業向けの電子部品サプライヤーであるTyco Electronicsにとって、射出成形機器の従来の洗浄工程は、大幅に生産時間を短くしていました。

 

「従来の洗浄工程は時間がかかりすぎ、人件費も多くかかっていました。金型は当社のビジネスにとって不可欠であり、それらを取り外して工場内で移動させる必要があることは、それらが損傷の危険にさらされることを意味しています。金型を安全に取り扱い、生産性を向上させるために、より良い洗浄方法ソリューションが必要であると認識しました。」
– Tyco Electronics Belgium EC N.V.社ヤン・ショッテ氏

 

たとえば、ベルギーにあるTyco Electronics工場は、エアバッグや他の安全部品向けの自動車コネクタを製造しており、300以上の金型を保有しています。そのうちの10個は、Tyco Electronics社内でも長時間稼働製造に使用されています。これらの金型は1 cmから15 cmまでのサイズで、約5から200グラムの製品を製造するために使用されています。

これらの金型は、製造中にプラスチック材料が蓄積するため、金型が汚れ、部品に斑点を出したり、ベントを塞いだりするため、最低でも48時間毎に洗浄する必要があります。ベントが詰まると排気することが出来ず、成形された部品に焼け痕が残ります。

Tyco Electronics社は、超音波、テフロンブラスト、溶剤、手作業など、さまざまな洗浄方法を試してきました。これらの洗浄方法はプラスチックの蓄積を取り除くのに役立ちましたが、非常に時間がかかりました。また、金型、設備、作業者に危険リスクをもたらし、生産の長時間の停止が必要でした。

 

問題

リーン評価の後、Tyco Electronics社はCold Jetのi3 MicroClean®システムに導入しました。軽量でコンパクトなシングルホースの洗浄機で、特許取得の切削技術が搭載されています。ドライアイスブロックを使用し、低圧で低騒音のブラストのため、Tyco Electronics社の安全基準に適し、また金型内の小さなキャビティもきれいに洗浄出来たため、理想的な解決策となりました。

 

「リーン製造に焦点を当て、Cold Jet製品が総生産プロセスを改善できる能力は、ドライアイス洗浄が導入を検討しようと思った大きな理由の一つでした。金型をより早くかつ頻繁に洗浄するだけでなく、金型設備を分解、洗浄、再組み立ての工程全ての必要がなくなりました。」
-ショッテ氏

 

ドライアイス洗浄は水を使用しない乾燥した洗浄プロセスであり非伝導性です。金型がまだ熱い状態で洗浄でき、冷却や再加熱にかかる時間を省略できます。また、ドライアイス洗浄は非研磨性であり、金型を傷つけたり鈍らせたりしません。これらの利点により、金型や洗浄対象物、人体への危険リスクを大幅に軽減します。

またドライアイス洗浄の仕組みでもある、運動エネルギーと熱効果が同時に組み合わさることで、付着物と母材の表面の隙間に入り込み付着物が剥離されます。他のメディアでの洗浄方法とは異なり、ドライアイス洗浄は水を使用せず、昇華してしまうため二次廃棄物を発生させません。化学薬品での洗浄とも違い、地球環境や人体に無害なため、安心して使用できます。

Cold Jetのドライアイス洗浄は、従来の方法と比較すると大幅に時間短縮が可能になります。すでに導入されている例としては、金属、ゴム、およびプラスチック成形製品メーカーが挙げられ、一日に要する金型洗浄の時間を、最大80%削減している企業もあります。Tyco Electronics社では長時間稼働の金型洗浄に、従来最大11時間かかっていたのですが、Cold Jetのドライアイス洗浄を導入したことにより、作業員1人で1時間未満にすることが出来ました。

ベルギー工場でMicroCleanを導入して以来、Tyco Electronics社はヨーロッパの12拠点、北米5拠点でドライアイス洗浄機を導入しています。同生産ラインだけではなく、金属スタンピング部門など、他の部門でもドライアイス洗浄工程の導入を検討しております。

同社は製造工場の管理陣に対し、生産性を向上させ、コストを削減し、品質に影響を与えることなく無駄を排除するという非常に高い要求を課しています。射出成形製品メーカーが、リーン製造原則、もしくは全体的な予防保守(TPM)の理念に従うようになるにつれて、ドライアイス洗浄の利点は明確になります。十分な洗浄効果も得られ、環境に配慮した洗浄工程であり、少ない時間、リソース、また様々な生産面において大きく改善することが可能です。

Cold Jetのi3 MicroClean導入後、Tyco Electronics社は6〜12時間かかっていた洗浄工程を1時間に短縮し、複数名要していた作業員を1人に削減しました。また、導入当初の投資回収期間予測では18ヶ月と設定していましたが、実際には1ヶ月ほどで投資回収が完了しました。Cold JetではTyco Electronics社のように、リーンおよびTPMに取り組まれている企業をサポートしたいと考えています。洗浄工程における不要なステップを排除し、生産性を向上させることによって、より効率的になるだけではなく、環境に対して責任を持った洗浄ソリューションを提供し続けます。

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